経理資格のおすすめ5選|未経験からの取得順と勉強法を経理歴18年が解説

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経理資格のおすすめ5選|未経験からの取得順と勉強法を経理歴18年が解説

経理の資格でいちばん多い失敗は、難しい資格を選ぶことではありません。使わない資格を先に取ってしまうことです。

僕は経理歴18年のメーカー社員で、簿記1級を持っています。ただ、取ったのに一度も実務で使わなかった資格が2つあります。知的財産検定と、メンタルヘルスマネジメント検定です。どちらも真面目に勉強して合格しましたが、経理の仕事とつながらないまま知識が古くなりました。

資格そのものが悪かったわけではありません。取る順番と目的を決めずに始めたのが原因です。

この記事では、経理の実務に直結する資格5つを、未経験の人が取るべき順番で紹介します。あわせて、それぞれが実務のどの場面で効いたのかも書きます。

  • 経理資格のおすすめ5選と、難易度・費用・学習期間の比較表
  • 未経験から始めるときの取得順(3ステップ)
  • 働きながら続けるための勉強法と、費用を抑える制度
クロマル
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簿記の知識は、経理の仕事で判断に迷ったときの指針になっています。

経理の資格は「取る順番」で効き方が変わる

経理の資格と実務のつながり

経理の資格は種類が多く、どれから手を付けるかで迷います。ただ、選ぶ基準は「難易度」ではなく「明日の仕事で使うかどうか」です。

僕自身の話をすると、簿記は最初からうまくいったわけではありません。簿記3級を30点で落としています。合格点の半分以下です。そこから勉強法を変えて、1年後に2級、のちに1級まで取りました。

このとき分かったのは、資格の勉強が実務と結びついていないと、内容が頭に残らないということでした。逆に、いま担当している業務と重なる資格は、勉強しながら仕事が楽になっていくので、勉強そのものが続きます。

資格を取るメリットは3つ

  • 知識の証明になる… 採用や昇進の場面で、経理として必要な知識を持っていることを客観的に示せます
  • 職場での信頼につながる… 正確な会計処理は企業運営の前提なので、その裏付けがあることの意味は大きいです
  • 業務がそのまま楽になる… 簿記や税法は業務に直結するので、勉強した内容を翌日から使えます

デメリットも正直に書きます

  • 繁忙期との両立が難しい… 決算期に学習時間を確保するのは、想像以上に厳しいです
  • 取ったあとも勉強が続く… 会計基準も税法も毎年変わるので、資格を取った時点の知識のままでは使えなくなります

そして最大のデメリットが、冒頭に書いた「使わない資格を取ってしまう」ことです。時間と受験料を払ったうえに、実務で使わないので忘れます。だからこの記事では、5つに絞って、順番を付けて紹介します。

経理資格のおすすめ5選【比較表】

経理におすすめの資格5選

知名度と実務での直結度から選んだ5つです。まず全体を並べます。

簿記3級/2級 FP3級/2級 MOS(Excel) ビジネス会計検定2級 消費税法能力検定2級
取得難易度(5段階)1.5/31.5/322.53
経理実務への直結度(10段階)1081077
特に効く業務全般資金・申告全般経営管理財務・税務申告
学習期間3級3ヶ月/2級6ヶ月3級3ヶ月/2級6ヶ月3ヶ月6ヶ月6ヶ月
受験料2,850円/4,720円8,000円/11,700円10,780円(一般)7,480円2,700円
合格率3級 約40%/2級 約30%3級 約60%/2級 約30%約80%(推定)約50%約85%
試験日年3回+随時(ネット試験)年3回(5・9・1月)全国一斉(月1〜2回)+随時年2回(10・3月)年3回(5・10・2月)

(FPは金融財政事情研究会(きんざい)の試験内容を記載しています)

簿記検定(日商簿記検定)

経理の共通言語なので、ここから始めます。

経理の会話は簿記の用語でできています。借方・貸方、売掛金、未払費用といった言葉が分からないと、指示の意味も、システムの画面の意味も分かりません。簿記3級は初心者向けの範囲で、3ヶ月ほどの学習で合格できます。

簿記2級になると工業簿記が加わり、2018年以降は連結会計も範囲に入ったため、回によって合格率のばらつきが大きくなりました。それでも2級まで取ると景色が変わります。転職の求人でも、簿記2級を必須にしている企業があります。

3級・2級ともネット試験が始まったので、受験時期をかなり自由に選べるようになりました。

クロマル
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僕の働いているメーカー経理では、「簿記2級」の取得が管理職昇格の要件の一つになっています。

ファイナンシャルプランニング技能検定(FP)

簿記の次に取ると、担当できる業務の幅が広がります。

FPの試験範囲は、ライフプランニングと資金計画・リスク管理・金融資産運用・タックスプランニング・不動産・相続および事業承継の6分野です。経理の仕事でいえば、資金繰りと税務申告の下地になります。

年金・保険・税金・金利といったお金の全体像が入るので、簿記だけのときには判断がつかなかった場面で手が動くようになります。

試験は日本FP協会ときんざいの2団体があり、どちらで受けるかを選びます。FP2級を受けるにはFP3級の合格が前提ですが、2級のときに団体を選び直すこともできます。

MOS(Microsoft Office Specialist)Excel

簿記と並んで、最初に取ってよい資格です。

理由は単純で、経理の仕事の大半がExcelの上で行われるからです。会計システムから出したデータを加工し、集計し、報告資料にする。この流れが速くなるかどうかで、1日の終わり方が変わります。

MOSはMicrosoftの公認資格なので知名度も高く、簿記と組み合わせれば未経験からの就職・転職でも説明しやすくなります。3ヶ月ほどの学習で合格できて、得た知識はその後ずっと使えます。

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経理では、システムからダウンロードしたデータの加工・集計、社内報告資料の作成と、あらゆる業務でExcelを使います。Excelの作業スピードは、そのまま業務スピードに直結します。

ビジネス会計検定

簿記が「作る」試験なら、こちらは「読む」試験です。

試験範囲は財務諸表の構造と財務分析で、簿記のように仕訳を切ることは求められません。簿記の試算表や決算整理でつまずいた人が、別の入口から会計に入る道にもなります。

僕は2012年9月の第11回に86点で合格しました。当時すでに簿記1級を持っていましたが、半分くらいは新しい内容でした。作る側の知識と、出来上がった財務諸表を読む側の知識は、重なっているようで別物だったからです。

ただし、経理の採用の場面での知名度は簿記に劣ります。未経験から経理へ転職したいなら、先に簿記です。

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簿記とは違う視点で、財務諸表を「読む」基礎知識が身に付きます。

税法能力検定(消費税・法人税)

消費税の学習が必要な理由

5つの中で、いちばん実務が変わったのがこれです。

まず消費税法能力検定をおすすめします。仕訳を1本切るにも、その取引が課税か非課税か不課税かの判断が要るからです。2023年10月に始まったインボイス制度もあり、消費税の知識は経理の前提になりました。

全国経理教育協会(全経)が実施していて、個別論点の問題と、簡易的な様式で申告計算を行う問題が出ます。受験料が2,700円と安く、年3回あるので挑戦しやすいのも特徴です。

僕は消費税法能力検定1級を約100時間・3ヶ月、法人税法能力検定1級を半年で取りました。どちらも3級・2級を飛ばしていきなり1級です。過去問を繰り返せば届く試験なので、経理の実務経験がある人ならこの入り方もできます。

クロマル
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過去問をしっかり学習すれば、1級でも3ヶ月〜半年程度で合格できる試験です。いきなり1級を受けることもできますが、初心者向けの本と併用しましょう。

未経験からの取得順(3ステップ)

5つを紹介しましたが、同時に始めても続きません。順番を付けます。

ステップ1:簿記3級とMOS(Excel)

経理の言葉と、経理の道具です。この2つが無いと、実務でも勉強でも土台がありません。どちらも3ヶ月ほどなので、半年で両方という進め方ができます。

ステップ2:簿記2級

ここが分かれ目です。求人の要件になり、昇格の要件にもなるのが2級で、「経理をやっていける」と言える最低ラインもここだと思っています。工業簿記と連結会計が入るぶん、6ヶ月は見ておいてください。

ステップ3:担当業務に合わせて、FP・ビジネス会計検定・税法能力検定から選ぶ

3つ目からは、いま自分が何を担当しているかで選びます。

いまの担当 次に取るなら 理由
伝票処理・仕訳が中心消費税法能力検定課税区分の判断が毎日発生するため
資金繰り・税務申告FP2級税金と資金の全体像が入る
経営管理・資料作成ビジネス会計検定2級財務諸表を読んで分析する側の知識

ここで正直に書いておくと、僕自身はこの順番で取っていません。簿記1級が先にあり、FPと税法能力検定は後からでした。順番を勧めているのは、そのせいで遠回りした実感があるからです。冒頭に書いた2つの資格も、この「順番を決めていない時期」に取ったものでした。

各資格の詳しい勉強法は、記事の最後にまとめてリンクを置いています。

資格が実務とキャリアに効いた場面

資格が実務で効いた場面

「資格を取るとキャリアが開ける」という話は、抽象的なままだと信用しにくいと思います。実際に僕の身に起きたことを3つ書きます。

税法の資格で、担当業務そのものが変わった

僕は入社から10年ほど原価計算を担当していました。そこから子会社の経理体制づくりと税務申告の担当に移ったきっかけが、法人税法能力検定1級と消費税法能力検定1級です。

社内で「税務が分かる人」として認識される材料が、それまで何もありませんでした。資格そのものが評価されたというより、申告書を作る仕事を任せる判断材料になったということだと思っています。翌年には、子会社の消費税申告を一人で作りました。

簿記2級が、昇格の前提条件になっていた

前述のとおり、僕の勤め先では簿記2級が管理職昇格の要件の一つです。持っていないと、評価以前に土俵に乗りません。これは実力の話とは別の、制度としての話です。似た仕組みを持っている会社は珍しくありません。

ビジネス会計検定の知識が、9年後に効いた

合格したのは2012年ですが、実際に役立ったのは9年後でした。子会社の月次の経営実態報告を作り直したときです。財務諸表を「読む」側の知識が要る仕事で、簿記だけでは足りませんでした。

資格の効き方は、取った直後とは限りません。だからこそ、いま担当している業務の隣にある資格を選んでおくと、無駄になりにくいと思っています。

5つの次に考える上位資格

難関資格への挑戦

ここからは、働きながら取るなら数年単位を覚悟する資格です。生活の中心を勉強に寄せる必要があるので、環境を整えてから始めるものだと思ってください。

税理士試験

税務の専門家としての国家資格で、簿記論・財務諸表論の必須2科目に税法3科目を加えた計5科目の合格が必要です。科目合格が生涯有効なので、1年1科目のような進め方ができるのが特徴です。

僕も簿記論・財務諸表論の学習を続けています。ただ、法人税法は全く歯が立ちませんでした。税法能力検定1級とは、要求される深さが別物です。この差を知らずに「税法能力検定の延長」と考えると、確実に見誤ります。

公認会計士試験

監査を独占業務とする国家資格です。働きながらの取得が税理士試験より難しいとされるのは、相対評価であることと、論文式試験に科目合格の有効期限があることの2つが理由です。受験に専念している人と同じ土俵で競うことになります。

その分、監査法人・コンサルティングファーム・事業会社の経営幹部・独立と、合格後の選択肢は広いです。

米国公認会計士(USCPA)

国際的に通用する資格ですが、国内企業に勤めているなら「知識の習得が主目的」と考えたほうがいいと思います。理由は3つあります。

  • 受験料が高額(日本で受験する場合、1科目あたり数万円)
  • 難易度のわりに評価されない企業がある
  • 英語と米国会計基準を使う場面が無いと、知識を活かしにくい

また、受験資格として会計系の大学単位が必要なので、履修していない場合は単位取得の時間と費用が先に発生します。なお試験制度は改定されており、科目構成も変わっています。受験を検討するなら、必ず公式サイトで最新の要件を確認してください。

クロマル
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受験する州ごとに単位要件が異なるため、よく調べてから出願しましょう。

働きながらの勉強法と、続けるための計画

経理資格の勉強方法

資格が決まったら、次は続け方です。社会人の資格試験は、理解力ではなく継続で決まります。

独学か、通信講座か

独学 通信講座
費用教材費のみ数万円〜
進め方自分のペースで調整できる講義の順番に沿って進む
つまずいたとき自力で調べる質問できる(回答に時間はかかる)
法改正自分で追う必要がある教材側が対応する
向いている人学習の管理が得意な人時間が限られている人

簿記3級のように市販教材が充実している試験は独学でも十分です。一方、税法系や難関資格は、法改正への対応だけでも独学の負担が大きいので、講座を使ったほうが結果的に早いことが多いです。

僕自身は「インプットは通信講座、アウトプットは市販の問題集」という組み合わせで落ち着いています。

計画は、試験日から逆算する

  1. 試験日を決めて申し込む… 申し込んでから計画を立てます。逆にすると始まりません
  2. 必要な総学習時間を調べる… 消費税法能力検定1級なら約100時間、簿記2級なら200〜300時間が目安です
  3. 1日に確保できる時間で割る… 平日1時間・休日3時間なら、週10時間。100時間なら10週です
  4. 予備日を週1日入れる… 入れておかないと、1日崩れた時点で計画ごと諦めます

進捗はカレンダーに印を付けるだけで十分です。計画どおりに進まないのが普通なので、週単位で見直しながら進めてください。

費用を抑えるサポート制度

資格取得の費用は、自己負担だけとは限りません。使える制度が3種類あります。

教育訓練給付制度

厚生労働大臣が指定する講座を受講して修了すると、受講費用の一部が支給される国の制度です。簿記検定・税理士・USCPAなど、経理関連の講座も多く対象になっています。訓練の種類によって給付率が3段階に分かれています。

種類 給付率 上限
一般教育訓練20%10万円
特定一般教育訓練40%20万円
└ 資格を取得して雇用された場合50%25万円
専門実践教育訓練(受講中・修了時)50%年間40万円
└ 資格を取得して雇用された場合70%年間56万円
└ さらに賃金が5%以上上がった場合80%年間64万円

専門実践教育訓練は最大3年間受けられ、その場合の上限は192万円です。

注目したいのは、資格を取って就職や雇用継続につながると、給付率が上乗せされる設計になっている点です。単に受講するだけの場合と比べて、専門実践なら50%が70%に、条件を満たせば80%まで上がります。

利用には雇用保険の加入期間(原則3年以上、初めて受給する場合は1年以上)などの条件があります。対象になるかどうかは、ハローワークで確認してください。

自治体の助成金・補助金

市区町村によっては、住民の資格取得を支援する制度があります。受験料の一部補助や、資格取得奨励金といった形です。お住まいの自治体のサイトで「資格取得 補助金」と検索するか、産業振興課などに問い合わせると分かります。

会社の支援制度

意外と使われていないのがこれです。合格時の奨励金、受験料や講座費用の補助、資格手当、試験前の特別休暇など、制度としてはあるのに周知されていない会社もあります。まず就業規則と人事制度を確認してみてください。転職活動をしているなら、この点も企業選びの材料になります。

よくある質問

Q. 経理資格を取るには、スクールに通う必要がありますか?

A. 必要はありません。独学でも取れます。ただし、学習計画を立てて自分で管理する力が要ります。繁忙期のある社会人なら、講座を使って最短で終わらせるほうが結果的に安く済むことが多いです。

Q. 簿記検定は何級まであるのですか?

A. 3級から1級まであります。目安は、3級が個人事業主の経理処理、2級が中小企業の経理処理、1級が大企業の経理処理です。2級は連結会計が出題されるようになってから難化傾向にあります。

Q. 資格を取ると給料は上がりますか?

A. 資格手当がある企業なら直接的に上がります。それ以上に大きいのは、管理職への昇格要件に簿記2級が入っているような場合で、長期的な給与に効いてきます。転職でアピール材料になるという意味でも、短期的な効果があります。

Q. 経理の資格を持っていなくても、ビジネス会計検定は受けられますか?

A. 受けられます。ビジネス会計検定に受験資格の要件はありません。簿記検定も、消費税法・法人税法能力検定も同じで、いきなり上の級から受けることもできます。

まとめ

経理の資格は、取る順番で効き方が変わります。この記事の要点は5つです。

  • 簿記検定… 経理の共通言語。3級から始めて、2級まで取ると求人と昇格の土俵に乗る
  • FP… 資金繰りと税務申告の下地になる。お金の全体像が入ると判断できる場面が増える
  • MOS(Excel)… 経理の道具。作業スピードがそのまま業務スピードになる
  • ビジネス会計検定… 財務諸表を「読む」側の知識。経営管理の業務で効く
  • 税法能力検定… 受験料が安く挑戦しやすい。実務が最も変わった資格

そして、資格そのものより大事なのが順番です。簿記3級とMOS → 簿記2級 → 担当業務に合わせて3つ目。この形なら、勉強した内容を翌日の仕事で使えるので続きます。

僕は順番を決めずに始めて、使わない資格を2つ取りました。その時間があれば、税法の資格をもっと早く取れていたと思います。いま担当している業務の隣にある資格を、1つだけ選んでください。


追伸

業務別にもっと細かく優先順位を知りたい方は、担当業務からたどれるフローチャートを別記事にまとめています。

【未経験〜経理担当必見】実務に役立つ経理資格取得のおすすめ優先順位

各資格の勉強法は、それぞれの記事に分けて書きました。すでにその資格を取ると決めた方向けなので、まだ迷っている段階なら上のフローチャートを先に読んだほうが早いです。

そもそもなぜ資格を取り直したのか、という話はnoteに書いています。

https://note.com/kuromarushikaku/n/nad8b6960d33a