経理のExcel関数7選|18年使って分かった実務での使い分けと失敗例

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経理のExcel関数7選|18年使って分かった実務での使い分けと失敗例

経理の仕事でExcelの関数は、どれを覚えるかより「どこで間違えるか」を知っているかで差が付きます。

僕は経理歴18年で、原価計算を10年、そのあと子会社の経理体制づくりと税務申告を担当してきました。その間ずっと、会計システムから出したデータをExcelで加工する仕事をしています。使う関数は、実のところ7つくらいで足ります。

一方で、関数の設定をひとつ間違えて棚卸の評価額がずれ、原因を探すのに時間を溶かしたこともあります。この記事では、実務での使用頻度が高い順に関数7つと、その関数で実際にやらかした失敗を書きます。

  • 経理で使用頻度の高いExcel関数7選と、選んだ基準
  • 関数を使うときに経理がつまずく3つのポイント(端数処理・単位・参照)
  • 会計システムとExcelの役割分担、Excelに任せてはいけない業務

※ショートカットキーは経理の時間短縮!Excelショートカットキー活用のコツを伝授で解説しています。

経理でよく使うExcel関数7選【使用頻度順】

経理業務で使うExcelの関数

まず結論から書きます。僕が経理の実務で使っている関数は、頻度の高い順に次の7つです。

#関数何をするか書き方経理での使いどころ
1SUM / AVERAGE合計・平均を出すSUM(数値1,[数値2],…)月次の売上・経費の集計。すべての土台
2SUMIFS複数の条件に合う数値だけ合計するSUMIFS(合計範囲,条件範囲1,条件1,…)部門別・費目別・期間別の集計
3VLOOKUP / XLOOKUP別表から対応する値を持ってくるVLOOKUP(検索値,範囲,列番号,FALSE)コードから科目名・部門名・取引先名を引く
4IFERRORエラーのとき別の値を返すIFERROR(値,エラーの場合の値)参照できない行を「該当なし」や0で埋める
5ROUND / ROUNDDOWN / ROUNDUP指定した桁で丸めるROUND(数値,桁数)単価計算・消費税・評価額の端数処理
6SUBTOTALフィルタで絞った分だけ集計するSUBTOTAL(集計方法,範囲)明細から条件を切り替えながら金額を確認する
7COUNTIF条件に合うデータの件数を数えるCOUNTIF(範囲,条件)件数の突合、重複チェック

この順番は何を基準に並べたか

基準は「僕が実務で使う頻度」です。 難易度でも、知名度でも、Excelの機能としての重要度でもありません。

  • 1〜3位(SUM・SUMIFS・VLOOKUP)は、使わない日がない関数です。会計システムから出した明細を、部門や費目でまとめ直し、コードに名前を付ける。経理がExcelでやっている作業のほとんどはこの3つの組み合わせです
  • 4〜5位(IFERROR・ROUND系)は、使う頻度は落ちるのに、間違えたときの影響がいちばん大きい関数です。この記事の後半はほぼこの2つの話になります
  • 6〜7位(SUBTOTAL・COUNTIF)は、資料を作るためではなく、自分が確認するために使う関数です

順位を付けた以上、外した関数の理由も書いておきます。IF関数は条件分岐の基本ですが、経理の集計ではSUMIFSとIFERRORに吸収されることが多く、単独で使う場面はそれほど多くありません。ピボットテーブルは関数ではないので7選には入れていませんが、明細を眺めるだけならSUMIFSを何本も書くよりピボットのほうが速いです。

VLOOKUPとSUMIFSの使い分け

この2つは初心者がいちばん混同するところです。区別は単純で、取ってくるのが「名前」ならVLOOKUP、「金額」ならSUMIFSです。

  • 部門コードから部門名を持ってきたい → VLOOKUP(1対1で対応する値を引く)
  • その部門の経費の合計を出したい → SUMIFS(該当する行を全部足す)

VLOOKUPで金額を引こうとすると、同じコードの行が複数あっても最初の1行しか拾いません。合計したいのに一部しか取れていない、という事故はこれが原因です。金額を扱うときは、まずSUMIFSで足りないかを考えます。

なお、Microsoft 365を使っているならXLOOKUPが使えます。列番号を数えなくてよく、見つからなかったときの値も引数で指定できるので、新しく作る表ではこちらのほうが安全です。僕自身は長くVLOOKUPで通してきた側で、XLOOKUPへの抵抗感が薄れたのは後述する書籍がきっかけでした。

クロマル
クロマル

他部門にExcelで入力を依頼するときは、様式に入れる情報を極力減らすのがコツです。関数を仕込んだ立派な表を送ると、たいてい上書きされて壊れて返ってきます。

関数を使うときに経理がつまずく3つのポイント

端数処理や単位の設定で結果が変わることを表したサイコロ

関数そのものは、覚えれば誰でも同じ結果を出せます。差が付くのは、関数が正しいのに数字が合わないときです。

僕が実際にやらかした3つを書きます。

端数処理は「桁数」と「丸め方」をセットで決める

実地棚卸のあとで評価額を確定させたとき、Excelで作った仮計算と、システムに入力した金額が数円だけ合わないことがありました。

原因は2つありました。

1つめは桁数です。社内のルールでは単価は小数第2位までのはずでしたが、実際のデータには小数第9位まで入っていました。

2つめは丸め方です。ルール上は保守主義の考え方から切り捨て(ROUNDDOWN)で処理することになっていました。ところが僕のExcelでは、四捨五入(ROUND)で計算していました。

つまり、桁数も丸め方も両方ずれていたわけです。数円という差は、この2つが打ち消し合ったり重なったりした結果でした。

ここから学んだのは、端数処理は「小数第何位まで」だけでは仕様として足りないということです。桁数と丸め方式の2つをセットで決めて、明文化しておく必要があります。ROUNDとROUNDDOWNとROUNDUPは、どれも「丸める」ですが結果は違います。

そして、数円の差でいちばんやってはいけないのが、「数円だから」と放置することです。金額が小さいだけで、原因は他の桁でも起きています。同じ設定のまま金額の大きい品目を通せば、差も大きくなります。

関数処理経理で使う場面
ROUND四捨五入社内資料の金額調整など、ルールで四捨五入と決まっている場合
ROUNDDOWN切り捨て保守的に見積もる評価額、切り捨てが社内ルールの単価計算
ROUNDUP切り上げ必要数量の算出など、足りないと困る計算

単位が違うと、差は「きれいな桁」で出る

もうひとつ多いのが、単価と数量の単位が揃っていないケースです。単価が1束あたりの金額なのに、数量が個数で入っている、というような食い違いです。

これをやると、評価額は10倍・100倍・1000倍というきれいな桁のずれとして出ます。逆に言うと、差異がちょうど1000倍なら、計算式ではなく単位を疑えばいいということです。

この型は、Excelの関数の問題ではなくデータの持ち方の問題なので、個人の注意力では防げません。単価が何あたりの金額なのかを、表の見出しに書いておくのがいちばん確実です。

参照はコピーした瞬間にずれる

3つめは、VLOOKUPやSUMIFSの範囲指定です。範囲を$で固定しないままコピーすると、下の行に行くほど参照範囲が下へずれていきます。

厄介なのは、ずれた先にもデータがあると、エラーにならず「それらしい数字」が出ることです。#N/Aが出れば気づけますが、金額が返ってくると気づけません。範囲指定は最初にF4で固定する、と手を決めておくのが結局いちばん早いです。

数字が合わないときは、差異の「形」を見る

差異の原因を絞り込んで解決する様子

上の3つを踏まえると、差異が出たときに原因を1から探す必要はほとんどありません。合わない金額の形を見れば、犯人はだいたい絞れます。

僕が見ている順番はこうです。

  1. 2で割ってみる … 割れて心当たりのある金額なら、貸借を逆に入れている
  2. 9で割ってみる … 割り切れるなら、桁ズレか数字の入れ替え(12と21、1,200と2,100はどちらも差が9の倍数になる)
  3. 桁がきれいにずれていないか … 単位の不一致
  4. 数円・数十円か … 端数処理の設定

この4つに当てはまらないときだけ、地道に突合します。大きい差異ほど深刻な原因があるとは限りません。1000倍の事故は単位の設定ひとつでしたし、数円の差のほうが仕様の話としては根が深かったです。

僕の失敗談は、note記事で公開しています。

差異が2倍なら貸借逆、9で割り切れるなら桁ズレ

https://note.com/kuromarushikaku/n/n3968930d1b4b?sub_rt=share_pw

会計システムとExcelの役割分担

会計システムのデータをExcelで加工するパソコン

ここまで関数の話をしてきましたが、そもそもなぜ経理はExcelを使うのか、を整理しておきます。

会計システムは経理業務の基盤ですが、すべての業務を網羅できるわけではありません。Excelは、会計システムが持っていない「その会社だけの見方」を作るために使います。

僕の勤め先でも会計システムは導入されていますが、そこから取り出した明細データを経営管理用にExcelで加工する場面が非常に多く、Excelがなければ仕事になりません。具体的にはこういう作業です。

  • 個別財務諸表の作成: 連結会計を行うにあたっての個社の詳細情報の集計
  • 会社法計算書類の作成: 全社で統一した形式に整える
  • 財務分析: 明細データを加工したうえでの各種分析
  • 経営管理資料の作成: マネジメント層への説明資料

もうひとつ、Excelは社内の多くの部門が日常的に使っているという点が大きいです。会計ソフトを開ける人は限られますが、Excelなら誰でも開けます。他部門に数値の提供を依頼するとき、Excelの様式を準備して入力してもらう形が取れるのは、この汎用性のおかげです。

企業の規模によっては、予算の都合で本格的な会計ソフトを導入せず、通常業務をExcelで回しているところもあります。初期費用もランニングコストもかからず、担当者に合わせて自由にカスタマイズできるのは、Excelのいちばんの強みです。

Excelに任せてはいけない業務

Excelに任せる業務と任せない業務の線引き

一方で、Excelに寄せすぎると必ず苦しくなる領域があります。「作るのは簡単だが、維持するのが大変」という性質があるからです。

任せてよい任せてはいけない
一時的な集計・分析、資料の作成継続的に残す必要のある記録、複数人で同時に触る台帳
会計システムのデータの加工制度改正のたびに数式を直す必要がある計算
自分で確認するための突合属人化すると引き継げなくなる複雑なマクロ

理由は3つあります。

1つめは、フォーマットの作成と保守に手間がかかること。 自由度が高いぶん、ゼロから作る手間と、作ったあとの修正の手間が両方かかります。作った本人以外が直せない表は、その時点で資産ではなく負債です。

2つめは、制度の改正に自動では追従しないこと。 税率や会計基準が変われば、自分でシートと数式を直す必要があります。複雑なシートほど修正漏れのリスクが上がります。

3つめは、バージョン管理が効かないこと。 最新のファイルがどれか分からなくなる「ファイルの多重化」は、Excelを使う限り必ず起きます。複数人で同時に触る台帳をExcelで持つのは避けたほうがいいです。

まとめると、Excelは「加工」に向いていて、「保管」には向いていません。会計システムに入れるべきものをExcelに置いたままにしない、という線引きだけは持っておきたいところです。

経理がExcelの関数を学習する際におすすめの書籍3選

僕はExcel強化の必要性を感じてから、10冊以上のExcel本を読みました。その中で、経理の方に特におすすめの3冊を紹介します。

「たった1日で即戦力になるExcelの教科書」(吉田拳)

最初の1冊にするならこれです。 Excelの基本操作から実務で頻繁に使う関数まで、図解が多く、短期間で一通り押さえられる構成になっています。

「とにかく早くExcelを使えるようになりたい」という段階で読む本で、逆に言えばある程度使えている人には物足りない内容です。

「関数ちゃんと学ぶエクセル仕事術」(筒井.xls)

各関数を擬人化しており、一見するとExcelのファンブックのように見えます。ただ、取り上げているのは使用頻度の高い関数が中心で、関数の学習に抵抗感がある方の1冊目として特におすすめです。

僕自身、それまでなじみのなかったXLOOKUP関数への抵抗感が薄れたのは、この本のおかげでした。VLOOKUPで長年やってきた人ほど、新しい関数に手を出す腰が重くなります。その腰を上げさせてくれる本です。

「経理のExcelベーシックスキル」(葛西一成・中央経済社)

3冊の中でいちばん新しい本です。著者は上場企業2社で経理部長を務めた経験のある方で、Excelでミスを防ぐ方法、ファイル名の付け方、フォルダ管理など、単なる操作説明にとどまらない「Excelを使う際の作法」がまとまっています。

関数の使い方を覚えたあと、Excelを使いながら都度読み返したい種類の本です。この記事で書いた端数処理や参照ずれのような、操作は合っているのに事故が起きる領域を扱っているのはこの本だけでした。

なお著者はX(旧Twitter)で「経理部IS」さんとして経理の心構えなどを発信されており、こちらも経理にとって勉強になる内容です。

よくある質問

Q1: 経理初心者は、どの関数から覚えればいいですか?

A1: SUM・AVERAGE・SUMIFS・VLOOKUPの4つから始めてください。日々の集計業務のほとんどはこの4つで回ります。

IF関数を最初に覚えようとする方が多いのですが、経理の集計ではSUMIFSに吸収されることが多く、優先度はそれほど高くありません。

Q2: 金額計算で四捨五入したいときは、どの関数を使いますか?

A2: ROUND(四捨五入)・ROUNDUP(切り上げ)・ROUNDDOWN(切り捨て)を使い分けます。

  • =ROUND(123.456, 2) → 123.46(小数点以下2桁で四捨五入)
  • =ROUNDDOWN(123.456, 2) → 123.45
  • =ROUNDUP(123.456, 2) → 123.46

⚠️ 関数を選ぶ前に、社内ルールで「小数第何位まで」「四捨五入か切り捨てか」の2つが決まっているかを確認してください。 本文で書いたとおり、僕はこの2つが両方ずれていて棚卸の評価額が数円合わなくなりました。桁数だけ合わせても、丸め方が違えば結果は合いません。

Q3: 条件に合うデータだけを合計したいときの関数は?

A3: SUMIFSを使います。SUMIFでも単一条件なら同じことができますが、最初からSUMIFSで書く癖を付けたほうが後で楽です。条件を1つ足したくなったときに、SUMIFだと引数の順番から書き直しになります。

  • =SUMIFS(B:B, A:A, "営業部") → A列が「営業部」の行のB列を合計
  • =SUMIFS(B:B, A:A, "営業部", C:C, "2026年4月") → 条件を2つに増やした場合

Q4: エラー表示を別の文字に変えたいのですが

A4: IFERRORを使います。

  • =IFERROR(VLOOKUP(A1, B:C, 2, FALSE), "該当なし")

ただし、金額の計算をIFERRORで0に置き換えるのは慎重にしてください。エラーは「そのコードがマスタに無い」という情報でもあるので、0で埋めると差異の原因が見えなくなります。僕は資料に貼る直前まではエラーを表示させたままにしています。

Q5: フィルタで絞り込んだ分だけ合計したいときは?

A5: SUBTOTALを使います。=SUBTOTAL(9, B2:B100) と書くと、フィルタで表示されている行だけの合計が出ます。SUM関数だと、フィルタで隠れている行も含めて合計してしまいます。

明細を条件で切り替えながら金額を確認したいとき、この違いを知らないと数字を読み違えます。

まとめ

経理のExcel関数について、実務での使用頻度順に整理しました。

  • 覚える関数は7つで足りる。SUM・SUMIFS・VLOOKUP(XLOOKUP)・IFERROR・ROUND系・SUBTOTAL・COUNTIF
  • VLOOKUPとSUMIFSの使い分けは「名前か、金額か」。金額をVLOOKUPで引くと、複数行あっても最初の1行しか拾わない
  • 端数処理は桁数と丸め方をセットで決める。どちらか片方が合っていても数字は合わない
  • 差異は形を見る。2で割れれば貸借の逆、9で割り切れれば桁ズレ、きれいな桁のずれなら単位、数円なら端数処理
  • Excelは加工に向いていて、保管には向いていない。継続的に残す記録と、複数人で同時に触る台帳は任せない

関数を覚えること自体は1日でできます。差が付くのはその先、間違えたときにどこを見るかです。まずは自分がいま使っている表の端数処理が、社内ルールどおりの桁数と丸め方になっているかを確認してみてください。


追伸

Excelの操作そのものを速くしたい方は、ショートカットキーのほうが先に効きます。

経理の時間短縮!Excelショートカットキー活用のコツを伝授

体系的に学び直すならMOS試験の学習が効率的です。ただし、すでに実務でExcelを使いこなしている方には遠回りなので、そういう方は上の書籍3冊のほうが早いと思います。

【経理にExcelは必須】Mos試験合格にはUdemyのエクセル兄さんの講座が最適!

この記事で触れた「評価額が1000倍になった」失敗のほうは、noteに顛末を書いています。

https://note.com/kuromarushikaku/n/nf7a058593ac2