【どっちがおすすめ?】簿記2級とビジネス会計検定2級の選択ポイントを現役経理部員が比較

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【どっちがおすすめ?】簿記2級とビジネス会計検定2級の選択ポイントを現役経理部員が比較

経理分野の資格を、転職やキャリアアップのために取得する方も多いと思います。ただ、自分にどの資格が必要なのか、と迷っていませんか。

例えば、簿記自体は経理業務に有用な資格ですが、簿記2級を取得するには半年程度の勉強期間が必要であり、目的が明確でないと途中で学習を挫折しかねません。もし資格が取得できたとしても、目的が明確でないと、簿記の知識を活かしきれません。

  • どの資格が自分の業務に向いている?
  • 経理未経験が取得するのにおすすめの資格は?
  • 資格の知識はどのように活用できる?

僕自身、学生時代に簿記2級を取得していましたが、経理になってから経理の関連知識を広げようと考え、ビジネス会計検定2級を取得しました。その時に感じた印象は「同じ経理関連資格でも大分切り口が違う」という点です。

両方の資格を学習した上で、それぞれの資格は以下のような方に向いている、と考えています。

  • 簿記2級:経理転職希望者、および経理部門の財務会計の担当(財務諸表作成サイド)
  • ビジネス会計検定:財務分析や管理会計の担当(財務諸表分析サイド)

この記事では、大手メーカー経理歴15年以上の僕が、2つの資格の特徴と、経理実務で役立つ場面を比較します。読むことで、各資格の特徴を知り、あなたのキャリアに必要な資格を決める手助けになります。

簿記検定とビジネス会計検定の内容

簿記2級とビジネス会計検定2級試験の特徴を比較

まずは、簿記2級とビジネス会計検定2級試験の主な特徴を、難易度・知名度・実務への直結度等の観点で比較していきます。

資格簿記検定2級ビジネス会計検定2級
取得難易度
(3 / 5.0)

(2.5 / 5.0)

資格知名度
経理実務直結度107
活用できる業務全般(特に財務会計)主に財務分析・経営管理
受験資格なしなし
学習期間6ヶ月4~6ヶ月
受験料4,720円7,480円
合格率約30%(変動大)2級:約50%
試験時期年3回(6、11、2月)
 +随時試験(ネット試験)
試験:年2回
(10、3月)
受験地全国大都市
参照(公式HP)詳細を見る詳細を見る

まとめると、簿記2級とビジネス会計検定の違いは以下の通りです。

  • 資格の難易度は簿記2級の方が高い
  • 資格自体の知名度は簿記2級の方が高い
  • 簿記2級は財務会計、ビジネス会計検定は管理会計よりの出題内容
  • 合格率はビジネス会計検定2級のほうが高いためなじみやすい
  • 簿記2級には随時試験(ネット試験)があるため、いつ学習を始めても受験しやすい

簿記2級のほうが受験までのハードルが低いように見えます。ただ、合格率はビジネス会計検定が高く、自分の目的に沿った取得が必要です。

簿記vsビジネス会計検定 選択の決め手は求めるスキル

簿記とビジネス会計検定の選択は、個人の職種やキャリアパスに深く関連しており、それぞれの資格が提供するスキルセットが目指す職業やキャリアの目標に適合するかどうかを基準に選ぶべきです。

理由としては、簿記とビジネス会計検定で、重視するスキルが異なるためです。

  • 簿記: 日商簿記検定は、実務における会計処理、財務諸表の作成など、実践的な会計スキルを重視しています。この資格は、経理や会計の職種に直接的に役立ちます。
  • ビジネス会計検定: 財務諸表の分析や経営判断に関連する高度な会計スキルに重点を置いており、経営者や財務アナリスト、戦略立案に関わる職種に適しています。

個人の職業目標や興味が、会計処理や日常の経理業務にある場合は簿記検定が適しています。一方で、経営分析や戦略立案などより高度な財務知識を必要とする職種にはビジネス会計検定が適しています。

自身のキャリアパスや目指す職種に基づいて、どちらの資格を取得するかを決定することが重要です。

簿記2級の取得をおすすめする理由3点

僕が、経理未経験の方に、簿記2級とビジネス会計検定のどちらを先に取得するのがいいか、と聞かれたら、「簿記2級」と答えます。理由は以下の通りです。

  • 資格自体の知名度が高く、社内評価や転職活動でも資格取得が評価される
  • 簿記で財務諸表の作り方を学んだあと、分析方法を学ぶ方がより理解が深まる
  • 簿記2級の知識があると、ビジネス会計検定を取得する場合も非常に楽になる

専門学校で学ぶならば、スタディングがおすすめです。スタディング簿記講座の特徴については【口コミ有】スタディングで簿記2級に合格!通信講座で初心者でも合格できる方法を解説を参照ください。

ビジネス会計検定2級をおすすめする理由3点

以下のような方の場合は、ビジネス会計検定をおすすめします。

  • 財務諸表を作成するというより分析を行う業務に従事する方
  • 経営管理系の業務を行っており、会計分野の知識を広く浅く身に着けたい。
  • 株式投資等を行う際の財務分析の知識を得たい

以上のような方は、簿記独特のルールになじみがないことが多いため、ビジネス会計検定の学習の方が継続しやすいと考えられるからです。もちろん、ビジネス会計検定取得後、簿記検定の学習を行うことで分析や経営管理に役立つスキルは増えます。

もし、簿記2級を学習した後にビジネス会計検定2級を受験する場合、公式の問題集およびテキストを利用して独学で十分合格できると考えます。なぜならば、ビジネス会計検定は過去問に近い問題が出題される可能性が比較的高いため、問題集の解説を理解できる基礎知識があれば独学で合格可能だからです。

ただ、簿記3級レベルの知識でビジネス会計検定を受験するならば、専門学校の利用も検討の余地があります。特に簿記知識を必要とする部分は、独学より専門学校の解説を聞いた方が効率的だからです。

ビジネス会計検定2級受験に専門学校を利用するならば、

簿記とビジネス会計検定ー経理実務での活用場面

経理の仕事において、「簿記」と「ビジネス会計検定」はどちらも重要な役割を果たします。それぞれがどのように実務に役立つのか、具体的な場面を見ていきましょう。

簿記が経理実務で活用できる場面

簿記は企業の日常的な経理業務において基盤となる知識です。なぜなら、簿記の知識は、企業の財務状況を正確に把握し、報告するために必要だからです。具体的には、売上や費用、資産や負債などの取引を記録し、財務諸表(例えば、貸借対照表や損益計算書)を作成する能力が求められます。

例えば、以下のような場面で活用できます。

  • 取引の記録:例えば、ある会社が商品を売ったとき、その売上を記録する必要があります。このとき、簿記の知識があれば、正確に「売掛金」として記録し、後で回収するための管理ができます。
  • 月次決算の準備:毎月の経費や収入をまとめ、月次決算を行います。この際、簿記の知識があると、正確な数値を出すことができ、経営者に適切なアドバイスを提供できます。
  • 税務申告:年度末の税務申告においても、簿記の知識が欠かせません。適切に経費を計上し、税金を正確に計算することで、企業の負担を軽減することができます。

上記のように、簿記の知識は日常の経理業務全般で不可欠であり、正確な財務管理と報告の基盤を築くために重要です。

ビジネス会計検定が経理実務で活用できる場面

ビジネス会計検定は、企業の経営判断や戦略立案において非常に役立つ知識を提供します。理由としてビジネス会計検定で得られる会計知識は、財務分析や経営指標の読み解き方を学ぶため、企業の経営状況を深く理解し、将来的な戦略を立てる際に重要なためです。

例えば、以下のような場面で活用が期待できます。

  • 財務分析:例えば、企業の過去の決算書を分析して、収益性や安全性を評価します。これにより、経営者は現在の経営戦略がどの程度成功しているかを判断できます。
  • 経営戦略の立案:新しいプロジェクトを始める際、その投資がどの程度のリターンをもたらすかを予測するために、ビジネス会計の知識が必要です。例えば、新製品の市場投入にかかるコストと予想収益を比較し、投資の判断を行います。
  • リスク管理:経済状況の変動に対する企業の耐久力を評価し、リスク管理を行います。例えば、資本構成のバランスを見直し、借入金の適切な管理を行うことで、経済的ショックに対する企業の耐性を強化できます。

したがって、ビジネス会計検定の知識は、企業の将来的な発展を見据えた経営判断や戦略立案において大いに役立ちます。

このように、「簿記」と「ビジネス会計検定」のどちらも経理実務において重要ですが、それぞれが異なる場面で力を発揮します。簿記は日常の経理業務や財務報告に必要不可欠であり、ビジネス会計検定は経営判断や戦略立案において強力なツールとなります。

初心者の方でも、それぞれの資格がどのように役立つかを理解することで、より具体的なキャリアプランを立てることができるでしょう。

経理関連資格を通じて会計知識を高め、業務に活用しよう

簿記2級とビジネス会計検定2級の比較を行ってきました。まとめると以下の通りです。

  • 未経験者には簿記2級がおすすめ。
  • 両方の資格を学習すると作成・分析両面からの理解が深まる
  • 簿記になじみがない人、または広く浅く会計を学びたい方はビジネス会計検定2級

簿記2級を取得するならば、通信講座を受講するのが効率的です。おすすめの通信講座(スタディング)のメリットについては【口コミ有】スタディングで簿記2級に合格!通信講座で初心者でも合格できる方法を解説で解説しています。

スキマ時間を活用した、効率的な簿記の学習方法については【スキマ時間活用】簿記2級に一発合格!1級合格者が勉強法を解説!を参照ください。

簿記とFPの比較については、簿記とFPの比較:どちらが必要か?を参照ください。