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転職エージェントの比較記事はたくさんありますが、そのほとんどが「求人数が多い」「サポートが手厚い」で終わっています。地方に住んでいる人が本当に知りたいのは、そこではないはずです。自分の住んでいる県に、経理の求人が何件あるのか。それが分からないまま登録しても、話が始まりません。
僕は経理歴18年、三重県で働いています。転職はしていませんが、情報収集のためにMS-Japanへ登録して2年が経ちました。その間に届いた求人紹介のメールは23件です。
この記事では、経理向けの転職エージェント6社について、公式サイトで公表されている条件を整理したうえで、三重県と東京の求人数を実際に数えました。あわせて、僕のところに実際に届いた23件の中身も公開します。読み終えると、自分が対象になる会社が何社あるのかがはっきりします。
先に結論を書きます。地方在住の経理にとって、選択肢は思っているより少ないです。
結論: 会社選びより先に、自分が対象かどうかで決まる
6社を調べて分かったのは、各社が対象にしている人の範囲がまったく違うことです。同じ「経理の転職エージェント」でも、次の3つで対象から外れます。
- 住んでいる地域(そもそも求人が数件しかない県がある)
- これまでの経験(事業会社の経理か、会計事務所の税務スタッフか)
- 年齢

つまり「どこが一番良いか」を比べる前に、「自分が対象になるのはどこか」を確認する順番になります。ここを飛ばすと、登録したのに紹介できる求人がないという結果になります。
三重県の経理求人を実際に数えてみた

まずMS-Japanの公開求人を、都道府県別に数えました。経理・財務の求人で、全国3,197件です。
【図解】東京と三重の求人数の対比
| 都道府県 | 件数 |
|---|---|
| 東京 | 2,006 |
| 大阪 | 407 |
| 愛知 | 278 |
| 神奈川 | 128 |
| 兵庫 | 90 |
| 京都 | 65 |
| 静岡 | 46 |
| 埼玉 | 41 |
| 岐阜 | 35 |
| 福岡 | 33 |
| 千葉 | 25 |
| 滋賀 | 15 |
| 三重 | 11 |
| 奈良 | 11 |
東京だけで全国の63%を占めています。東京・大阪・愛知の3都府県を足すと84%です。そして三重県は11件、全国の0.34%しかありません。東京の182分の1です。
BEET-AGENTでも同じように数えたところ、三重県は6件、東京は628件でした。ヒュープロの三重県の一覧には18件が並んでいましたが、すべて税理士法人か会計事務所の求人で、事業会社の経理は1件もありませんでした。年収の提示は224万〜560万円です。
なお、求人数は各社で集計の基準が違うので、社どうしを単純に比べる数字ではありません。ここで見てほしいのは会社間の差ではなく、同じ会社の中での東京と地方の差です。
この数字を知っているかどうかで、準備の仕方が変わります。三重県で経理の求人を探すなら、11件の中から選ぶことになります。条件を絞り込む余地はほとんどありません。逆に言えば、通勤圏を愛知まで広げるかどうかが、最初の分岐になります。愛知は278件で、三重の25倍あります。
2年間で実際に届いた求人23件の中身
僕はMS-Japanに「愛知・三重」で条件を設定し、情報収集中というステータスで登録しています。2024年4月から2026年3月までの2年間で、23件の求人紹介メールが届きました。
内訳はこうです。
| 項目 | 内訳 |
|---|---|
| 勤務地 | 愛知21件、東京2件、岐阜1件、複数県にまたがるもの1件 |
| 三重県の求人 | 0件 |
| 管理職・課長・部長・CFO候補 | 13件 |
| 未経験可 | 1件 |
| 年収レンジ | 350万〜1,200万円 |
2つ、はっきりしたことがあります。
三重県の求人は2年間で1件も届かなかった
条件に三重県を入れていたのに、1件も来ませんでした。上で数えた11件という母数を考えれば、当然の結果です。地方在住で登録するなら、通勤できる範囲の都市部を条件に入れておかないと、メールが届かないことになります。
経理を18年やると、管理職の求人しか来なくなる
23件のうち13件が、管理職・課長候補・部長候補・CFO候補でした。半分以上です。残りもリーダー候補や、上場企業で連結決算を担当するポジションが中心でした。
これは、経歴に18年と書いてある以上は自然なことです。ただ、上を目指したい人にとっては朗報でも、そうでない人にとっては違う話になります。僕自身は管理職になるつもりがないので、届く求人と自分の希望が逆を向いている状態が続いています。
経理部の中の序列については経理カーストに書きましたが、社外から見た評価も同じ方向を向いていました。年数が増えるほど、任されるのはマネジメントになります。専門を深める道を選びたいなら、職務経歴書の書き方でそれを明示しないと、勝手に管理職候補として扱われます。
提示された年収レンジについては、経理の平均年収に相場をまとめてあるので、自分の現在地と比べてみてください。
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6社を、対象者が広い順に見る
ここからは6社を順に見ます。並べた基準は「全国の30〜40代・事業会社の経理」を想定読者としたときに、その人が対象になる範囲がどれだけ広いかです。求人数の多さや知名度では並べていません。地方在住や40代で対象から外れる会社があるため、そこを先に潰したほうが早いからです。
1. MS-Japan
管理部門と士業に特化したエージェントです。東証上場企業(証券コード6539)が運営しており、東京・名古屋・大阪に拠点があります。
6社の中で、対象になる人の範囲が最も広い会社です。公式サイトでは20代から40代に加えてシニア層も対象として案内しており、年齢で入口が閉じにくくなっています。対応エリアも関東・東海・関西が中心ですが、47都道府県から検索できます。
僕が2年間登録しているのもここで、上に書いた23件はすべてMS-Japanから届いたものです。登録前に求人一覧と件数を見られるので、まず自分の県に何件あるかを確かめてから登録するかを決められます。
デメリットもあります。届く求人は管理職候補に寄ります。それと、僕のように情報収集の状態で放置していると、登録情報が古いままになって精度が落ちます。実際、僕の登録内容は2年前のままです。
詳しい使い方は経理転職とMS-Japanの使い方にまとめました。
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2. ヒュープロ
士業と管理部門に特化したエージェントです。税理士・税務スタッフ・公認会計士から、事業会社の経理・財務・CFOまで幅広く扱っています。
対応エリアは全国で、主要エリアとして東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・京都・愛知・福岡を挙げています。こちらも登録前に求人を検索できます。
ただし、地方では中身が変わってきます。三重県の一覧に出てきた18件は、すべて税理士法人か会計事務所でした。事業会社の経理を探している人にとって、三重県では選択肢がゼロという結果です。会計事務所を含めて考えられる人には選択肢が増えますが、そうでないなら都市部を条件に入れる必要があります。
3. ジャスネットキャリア
1996年に公認会計士が創業した人材紹介会社です。会計・税務・経理財務の分野では最も歴史が長い部類に入ります。
全国版・関西版・東海版とサイトが分かれているのが特徴で、東海エリア向けのページを持っている数少ないエージェントです。求人検索も公開されています。
一方で、公式が主なターゲットとして挙げているのは20代・30代です。40代の方は、対象になるかを問い合わせで確認してから登録するほうが確実だと思います。
4. BEET-AGENT
経理・財務を含む管理部門に特化したエージェントです。上場企業やIPO準備中の企業の求人を中心に扱っています。
求人数は約4,000件で、地域を選んで検索できます。三重県は6件でした。公式サイトでは1都3県を中心に案内しており、関東以外の人にとっては選択肢が限られます。逆に、東京・神奈川・埼玉・千葉で働ける人にとっては、東京だけで628件あります。
リモートワークやフルフレックスの求人を前面に出しているので、働き方から探したい人には合います。
5. ミツプロ
税理士・会計業界に特化したエージェントです。事務所の労働環境を独自の基準で審査して紹介していると案内しています。
事業会社の経理より、税理士事務所・会計事務所で働く人、または働きたい人が対象です。事業会社の経理として20年近くやってきた人が登録しても、紹介できる求人は多くないと思われます。
もう1つ注意点があります。登録前に求人一覧を見られません。情報を入力して受け取る形なので、「どんな求人があるか先に見たい」という使い方はできません。
6. ツインプロ
会計士・税理士などの有資格者と、会計・税務・経理財務の経験者を対象にしたエージェントです。面接対策の手厚さを強みとして挙げています。
対象エリアは首都圏です。公式サイトでも「首都圏の会計・財務専門転職」と位置づけており、求人は1万件以上と案内されています。
対象年齢は24〜49歳です。事業会社の経理だけでなく、会計事務所・税理士法人・監査法人・FASまで含めた求人を扱っているので、資格を持っている人ほど選択肢が広がります。逆に、首都圏で働く前提が無い人には向きません。
※ 出典: ツインプロ公式サイト(https://twin-pro.jp/)。確認日 2026年8月30日。
会計事務所で働く人・税理士試験の受験生はどこを見るか
ここまでは事業会社の経理を前提に書きました。会計事務所で働いている人や、税理士試験を受けながら転職を考えている人は、見るべき会社が変わります。
この層に対応しているのは、ヒュープロ・ミツプロ・ジャスネットキャリアです。特にヒュープロは、税理士科目合格者や科目受験を考えている人を明示的に対象に含めています。上で書いたとおり、地方でも税理士法人の求人は残っているので、事業会社の経理より地方の選択肢が多いという逆転が起きます。
三重県の例で言えば、事業会社の経理は11件、税理士法人・会計事務所は18件でした。会計事務所側のほうが多いという結果です。
ただし、試験勉強と両立できるかどうかは事務所ごとに大きく違います。繁忙期の残業と試験前の休暇が取れるかは、求人票からは読み取れません。ここは面談で確認する部分です。
働きながらの受験環境については社会人から目指す税理士試験に、どの資格から取るかは経理資格の優先順位にまとめています。
エージェントを使わない選択肢もある
ここまで6社を紹介してきましたが、エージェント経由が唯一の道ではありません。
僕は就職活動のとき、エージェントを使わずに直接応募して、東証プライム上場の企業2社から内定をもらいました。持っていたのは簿記1級です。資格と経歴がはっきりしていれば、間に人を入れなくても選考は進みます。
エージェントを使わない場合の選択肢を挙げます。
- 企業の採用ページから直接応募する
- 求人サイトに登録して自分で探す
- 社内で異動の希望を出す
3つ目を軽く見ないほうがいいと思っています。僕自身、原価計算を10年やったあとに税法の資格を取り、それがきっかけで子会社の税務申告担当へ移りました。会社を変えずに担当が変わったわけです。年収の下がるリスクも、人間関係を作り直す負担もありません。
エージェントが向いているのは、次のような場合です。
- 自分では探せない非公開の求人を見たい
- 職務経歴書の書き方に自信がない
- 在職中で、求人を探す時間が取れない
逆に、応募したい企業がすでに決まっているなら、直接応募のほうが早いです。全員がエージェントを使うべきだとは思いません。
登録の前に用意しておくもの
どの会社に登録するにしても、先に決めておいたほうがよいものが1つあります。自分がどの方向へ進みたいのかです。
上に書いたとおり、経歴だけを見た紹介は管理職候補に寄ります。専門を深めたいのか、役職に就きたいのか、経理の外に出たいのかを決めていないと、送られてくる求人を受け身で眺めるだけになります。
3つの方向の違いと、面接での話し方は経理のキャリアプランにまとめました。登録の前に一度読んでおくと、面談で聞かれたときに答えられます。
職務経歴書については、いきなり清書しようとせず、担当してきた業務を期間と規模つきで箇条書きにするところから始めるのが早いです。僕の場合なら「原価計算10年」「子会社の経理体制の立ち上げ」「海外子会社の月次管理」の3行が骨になります。
よくある質問
Q. 複数のエージェントに登録してもいいですか
問題ありません。むしろ、扱っている求人が会社ごとに違うので、2社ほど登録して比べたほうが実態が分かります。ただし面談の回数が増えるので、在職中なら数を絞ったほうが続きます。
Q. 転職するか決めていない段階で登録してもいいですか
登録自体は可能です。僕も情報収集の状態で2年登録しています。ただし、担当者の時間を使う面談まで進むなら、その旨を最初に伝えておくほうがお互いに無駄がありません。
Q. 地方在住だと、やはり不利ですか
求人の数で言えば不利です。三重県は11件、東京は2,006件でした。ただし、これは選択肢の数の話であって、採用されるかどうかとは別です。数が少ないぶん、1件ごとの検討を深くすることになります。
Q. 40代でも登録できますか
会社によります。公式に20代・30代を主なターゲットとして挙げている会社もあれば、シニア層まで対象に含めている会社もあります。年齢が気になる場合は、登録前に求人一覧を公開している会社から見るのが確実です。求人票の対象年齢を自分で確認できます。
Q. 未経験から経理に転職したい場合はどうすればいいですか
この記事で紹介した6社は、いずれも経理・会計の経験者を主な対象にしています。未経験から入るなら、まず日商簿記2級を取って、一般の求人サイトから経理補助のポジションを探すほうが現実的です。
まとめ: まず自分の県に何件あるかを数える
経理の転職エージェントは、どこが優れているかより、自分が対象になるかで決まります。
- 東京だけで全国の経理求人の63%。三重県は11件で、東京の182分の1
- 三重県で事業会社の経理を探すと11件、税理士法人・会計事務所なら18件と逆転する
- 経理を18年やると、届く求人の半分以上が管理職候補になる
- 対象になる範囲が最も広いのはMS-Japan。地方でも登録前に件数を確認できる
- ただし、応募したい企業が決まっているなら直接応募のほうが早い
最初にやることは1つです。登録の前に、自分の県の求人数を数えてください。数字を見てから、通勤圏を広げるのか、いまの会社で担当を変えるのかを決めても遅くありません。
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