経理の目標設定は『自分で動かせる数字』で決める|失敗した目標と例文

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経理の目標設定は『自分で動かせる数字』で決める|失敗した目標と例文

経理の目標設定で一番大事なのは、自分の作業で結果が決まるものを目標にすることです。数字にしやすいかどうかより、その数字を自分の手で動かせるかを先に見てください。

僕は経理の部署にいたころ、「目標は数値化しろ」とだけ言われて、残業時間を○時間減らすという目標を出したことがあります。手順を見直して作業時間は実際に減らしたのに、残業時間は減りませんでした。一方、いまの部署で立てた賃率の策定のように、できあがったかどうかで判定できる目標は、うまくいっています。

この記事では、この2つの目標を比べて、経理の目標をどう立てればいいかを書きます。最後に、目標シートにそのまま使える例文も載せます。

この記事でわかること

  • 数値化した目標が達成できなかった理由
  • うまくいった目標に共通していたこと
  • SMARTの原則で見直した、経理の目標の例文

「残業時間を減らす」目標が達成できなかった理由

僕の会社では、期末の面談で使う目標のシートと、行動を評価するシートがあり、半期ごとに目標を立てて振り返ります。経理の部署にいたころ、目標の書き方として言われたのは「数値化しろ」の一言だけでした。

経理の仕事は、売上のような分かりやすい数字がありません。何を数字にすればいいか分からないまま、無理やり出したのが「残業時間を○時間減らす」でした。

やったこと自体は間違っていなかったと思います。業務に慣れて速くなり、作業を手順にまとめて迷う時間も減らしました。実際に、同じ作業にかかる時間は減っています。

それでも、残業時間は減りませんでした。理由は2つあります。1つは、減らした時間に別の仕事が入ってきたことです。空いた時間は、そのまま次の仕事で埋まりました。もう1つは、決算のときに上層部の判断を待つ残業があったことです。判断が出るまで帰れない時間は、僕がどれだけ手を速くしても短くなりません。

振り返ると、この目標は「自分の作業」ではなく「職場全体の仕事の量と、上の判断の速さ」で結果が決まる数字でした。数値化はできていても、自分では動かせない数字を目標にしていたわけです。

うまくいった目標は「形になる」ものだった

うまくいったのは、いまの部署で立てた賃率の策定のような目標です。賃率は、製品の原価を計算するときに使う単価で、期初に決めます。決める時期が業務の予定で決まっていて、期限までに策定できたかどうかで、達成したかがはっきり分かります。

この目標は、結果が自分の作業で決まります。各部門から集めた見積りをもとに算定する作業が中心で、残業時間のように、職場に入ってくる別の仕事の量で結果が変わることがありません。

もう1つの違いは、達成が成果物として残ることです。策定した賃率そのものが、目標を達成した証拠になります。

賃率の決め方や、原価計算の年間の流れは原価計算の仕事内容に書いています。

SMARTの原則で見直すと、どこがまずかったか

目標の立て方でよく使われるのが、SMARTの原則です。1981年にジョージ・T・ドラン氏が紹介した考え方で、良い目標の条件を5つの頭文字で表します。AとRの読み方にはいくつかの版がありますが、ここでは次の読み方を使います。

頭文字 意味 残業時間を減らす 賃率を期限までに策定する
S(Specific)具体的である
M(Measurable)測れる
A(Agreed upon)自分が納得している× 数値化のために出した
R(Realistic)現実的である× 自分では動かせない
T(Timely)期限が明確である○ 半期○ 期初

表にすると、残業時間の目標は、具体的で測れて期限もある、形の上では良い目標でした。欠けていたのはAとRです。自分が本当にやりたいことではなく「数字にしろと言われたから」出した目標で、しかも結果を自分で動かせない。形式を満たしても、この2つが欠けると達成できません。

うまくいかなかった目標とうまくいった目標

この図は、出典の明記とリンク設置を条件に転載いただけます(加工・改変はご遠慮ください)。
出典:こつこつ経理の資格取得ナビ「経理の目標設定は『自分で動かせる数字』で決める|失敗した目標と例文」

いまの僕が同じ意図で目標を立てるなら、残業時間ではなく、自分で動かせる手前の数字にします。たとえば「○○業務の手順書を○月までに作る」「○○業務の作業時間を、手順化で○時間から○時間にする」のように、職場全体の量や上の判断が入らないところで区切ります。

SMARTの原則を紹介する解説では、期限は長くしすぎず短く区切ること、小さな目標を積み上げること、書いた目標を目に見える所に置くことも、あわせてすすめられています。半期の目標でも、3か月ごとに自分で中間点を置いておくと、遅れに気づくのが早くなると思います。

資格は行動評価の「専門性」の欄に書く

僕の会社の行動評価のシートには、一番下に専門性を高める取り組みを書く欄があります。僕はそこに、資格の取得を何度か書いてきました。ビジネス会計検定、消費税法能力検定、FPなどです。いまは税理士試験を書いています。

資格は、SMARTの原則に乗せやすい目標です。試験日が決まっているので期限が明確で、合否で達成が測れます。受ける資格を自分で選んで決めるので、納得して立てた目標にもなります。

注意したいのは、業務の目標の欄に資格だけを書かないことです。資格は自分の専門性を高める取り組みで、職場の業務の成果とは別物です。業務の目標は、賃率の策定のような仕事の成果で立て、資格は専門性の欄に分けて書くと、面談でもそれぞれを説明しやすくなります。

経理でどの資格から取るかは、担当業務別に経理資格の優先順位でまとめました。

よくある質問

Q. 経理の目標は、どう書けばいいですか? 例文はありますか?

自分の作業で結果が決まり、できたかどうかで判定できる形にしてください。次は僕の業務に寄せて作った例です。

  • ○月の決算までに、○○業務の手順書を作り、ほかの担当者でも処理できるようにする
  • 期初の○月末までに、今期の賃率を策定し、上長の承認を得る
  • ○○業務の作業時間を、手順の見直しで月○時間から○時間にする
  • ○月の○○検定(○級)に合格する(専門性の欄に書く)

Q. 「数値化しろ」と言われたら、どうすればいいですか?

数値にするのは、自分で動かせる手前の数字にしてください。残業時間や部署全体の処理件数のように、他人の仕事量や判断で動く数字は避けます。手順書の本数、作業時間、期限までに終わらせる件数などは、自分の作業で結果が決まります。

Q. 目標を立てても途中で忘れてしまいます。

半期の目標なら、3か月ごとに見直す日を自分で決めておくのがおすすめです。書いた目標を目に入る場所に置くと、見直すきっかけにもなります。

まとめ

  • 経理の目標は、数字にしやすいかより、自分の作業で結果が決まるかで選ぶ
  • 「残業時間を減らす」は、作業時間を減らしても、別の仕事や上の判断待ちで残業が減らず、達成できなかった
  • 賃率の策定のように、期限までに形になり、できたかどうかで判定できる目標はうまくいった
  • 資格は、期限と合否がはっきりした目標として、行動評価の専門性の欄に書く

次の目標シートを書く前に、その目標の結果を自分の手で動かせるかを一度確かめてみてください。

追伸

目標シートの専門性の欄にどの資格を書くか迷ったら、経理資格の優先順位を参考にしてください。いま僕が専門性の欄に書いている税理士試験については、社会人の税理士試験に書いています。