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「お金の資格」で簿記と並んでよく挙がるFP。でも「FPは役に立たない」「意味ない」と言われがちで、勉強する前に迷っている人も多いはずです。
結論から言うと、「役に立たない」は半分本当で半分は誤解です。FPには独占業務がなく、専門性も広く浅いので、「これ一本で食べていく資格」としては確かに弱い。一方で、お金の全体像を一気に学べる知識としては一生モノです。
僕は経理歴18年で、簿記1級のあとにFP3級→FP2級(きんざい)まで取得しました。実務でも、資金管理や税務の仕事でFPの知識に助けられた場面が何度もあります。
この記事では、次の3点を正直に解説します。
- FPが「役に立たない」と言われる3つの理由(弱点は隠さず認めます)
- どんな人には役に立たず、どんな人には役に立つのかの線引き
- 経理・実務でFPをどう活かすか(僕の実感ベース)
資格が実務でどう効いたかは、noteにも体験として書いています。経理部を出てからのほうが簿記の知識を使っている、という話です。
FPが「役に立たない」と言われる3つの理由
まず、批判されるポイントを正直に見ておきます。ここを認めないと、この先の「役に立つ話」も信用してもらえないからです。
理由1:独占業務がない
一番大きいのがこれです。独占業務とは、その資格を持つ人だけができる仕事のこと。弁護士の法律相談、公認会計士の監査などがそれにあたります。
FPにはこれがありません。だから「資格を取れば仕事が来る」タイプではなく、持っているだけでは仕事に直結しにくいのは事実です。裏を返せば、特定の職業に縛られず、いろいろな場面で知識を使えるということでもあります。
理由2:専門性が「広く浅く」になりがち
FPが扱う範囲はとても広く、次の6分野をカバーします。
- ライフプランニング
- リスク管理(保険)
- 金融資産運用
- タックスプランニング(税金)
- 不動産
- 相続・事業承継
その分、一つひとつは深掘りしません。税金なら税理士、不動産なら宅建士のような「その道の専門家」と正面から比べると見劣りするのは避けられません。FPは「入口を一通り押さえる資格」だと割り切るのが正解です。
理由3:合格率が高く「誰でも取れる」印象
3級はたしかに難関資格ではありません。日本FP協会の直近のCBT実績(2025年10月〜2026年2月)で、学科86.60%・実技84.88%です。
ただ、この「誰でも取れる」の印象は3級の、しかも日本FP協会の数字から来ています。FP技能検定は実施団体が2つあり、同じ級・同じ科目でも合格率がかなり違います。
| 日本FP協会 | きんざい(金財) | |
|---|---|---|
| 3級 学科 | 86.60% | 53.97% |
| 3級 実技 | 84.88% | 53.70% |
| 2級 学科 | 47.18% | 24.07% |
| 2級 実技 | 56.47% | 51.74% |
いずれも2025年10月〜2026年2月に実施されたCBT試験の結果です(日本FP協会は資産設計提案業務、きんざいの実技は個人資産・中小事業主・生保顧客・損保顧客の各業務を合計した数字)。
僕が受けたのもきんざいの2級でした。学科は4人に3人が落ちています。税理士試験や公認会計士試験のような長期戦ではない、というのは本当ですが、「誰でも取れる」が当てはまるのは3級までです。
「取りやすさ」が「希少性が低い=役に立たない」という印象につながっているのは事実です。ただ、これは多くの人がお金の知識に触れられるという意味でもあり、悪いことばかりではありません。
結局、FPが「役に立たない人」と「役に立つ人」
ここが検索でいちばん知りたいところだと思います。FPが役に立つかどうかは、資格そのものではなく「誰が・何のために使うか」で決まります。
| こんな人には役に立たない | こんな人には役に立つ | |
|---|---|---|
| 目的 | FP資格だけで独立・転職したい | お金の全体像を体系的に知りたい |
| 使い方 | 資格を取って終わりにする | 実務・家計・他資格と組み合わせる |
| 専門性 | 税・保険など1分野を極めたい | 幅広い分野の”つながり”を理解したい |
つまり、「FP1本で稼ぐ」を期待すると裏切られますが、今の仕事や生活の土台としてお金の知識を足したい人には、コスパの良い資格です。特に経理のように数字を扱う仕事とは相性が良い、というのが僕の実感です。
クロマル FP3級は「取りやすい」のに「一生使える」珍しい資格です。役に立たないのではなく、”活かし方を知らないともったいない”だけだと思っています。
経理でFPは「こう役に立つ」
FPの本当の価値は、金融知識そのものです。投資・保険・税金・年金といったお金まわりを一気に見渡せるようになるので、経理実務の見え方が変わります。
具体的には、次のような場面で効いてきます。
- 資金管理:企業の資金調達や運用の話が、個人のお金の動きと同じ理屈で理解できる
- 税務:法人の税務処理と、所得税・住民税など個人課税の知識がつながる
- 福利厚生:確定拠出年金(企業型DC)など、制度の背景まで腹落ちする
- 社内での説明:経営層や社員にお金の話を噛み砕いて伝えられる
僕自身、簿記だけを見ていた頃より、FPで税金や年金の全体像を入れてから、資金管理や税務の仕事の理解が明らかに早くなりました。
「なんか妙にお金余ってるな」と思った日
一番はっきり効いたのは、グループ会社の経理と資金繰りを一人で任されて、2か月目のことです。
僕はそれまで18年近く経理をやっていましたが、担当していたのは原価計算と収支管理で、給与や社会保険の仕事には一度も触れたことがありませんでした。仕訳は切れる。でも、給与まわりのお金が実際にいつ動くのかは知らない。そういう状態でした。
そこへ総務から「社会保険料と厚生年金保険料の金額です」という連絡が来ます。正直に言うと、最初に思ったのは「これ何?」でした。「社会保険」という言葉と「厚生年金保険料」という言葉が、頭の中で全然つながってこない。
そして、通帳を見ると連絡が来た金額と実際に引き落とされた金額が全然合っていない。最初の月にいたっては、まったく引き落とされていませんでした。「あれ、これ引き落とされてなくていいのかな」「なんか妙にお金余ってるな」——それが当時の正直な感覚です。
このとき手元にあったのが、FPで勉強した2つの知識でした。
- 社会保険料は会社と本人が折半し、会社は本人負担分をいったん預かる
- その保険料は、原則として翌月に納付される
これがあったので、「ずれているのではなく、そういう仕組みなのでは」と当たりをつけて総務に確認しに行けました。結果、1か月ほど気持ち悪いまま抱えるはずだったものが、その日のうちに解消しました。
大事なのは、ここで詰まらなかったことより、詰まっていたらどうなっていたかの方です。 当時の僕の仕事は、毎月の手元資金を確認して、翌月以降にいくら出ていくかを本社へ報告することでした。もし「翌月に払う」を知らなければ、支払い見込みを実態より多く報告して差異を指摘されていたか、逆に引き落とされていない金額を「余っている」と誤解して、資金がショートしていたかのどちらかです。
似たことは固定資産税でもありました。金額としては大きくないのに、見覚えのない税金の出金がある。「これは何だ」となったとき、時期的に固定資産税だろうと当たりをつけられたので、担当者にピンポイントで確認できました。うちは資産の大半を親会社が購入して無償で貸与し、その分が請求として回ってくる形だったので、税金の規模感をつかむ意味でも役に立ちました。
どちらも、その業務の経験者からすれば当たり前の話だと思います。ただ僕は経験がない状態で、先に知識だけ持っていました。そして、経験がない人にとっては、その「当たり前」を知らないことが、そのまま実害になります。FPの知識は、答えそのものではなく、調べるときの取っかかりとして効きました。
逆に、一度も使っていない知識もあります
正直に書くと、相続税まわりは今のところ一度も仕事で使っていません。相続税の課税や相続分の割合は、経理の実務で出てくる場面が今のところないからです。
ただ、無駄だとも思っていません。いずれ相続を受ける側になるか、渡す側になるかは、誰にでも来ます。そのときに必要になる一般的な知識として持っておく——FPの知識には、そういう「今すぐではない」引き出しもあります。
会計処理の正しさだけでなく、その数字が個人の資産や制度にどうつながるかまで見えると、経理の仕事はより戦略的になります。
FP資格を活かす3つの方法
資格は取って終わりではありません。学びのスタート地点として、次の3つで価値を伸ばせます。
1. 学び続ける
お金のルールは毎年のように変わります。法改正や新しい制度を追い続けることで、知識が古びません。金融ニュース、FP協会の継続教育、勉強会などで少しずつ更新すれば十分です。
クロマル FPで得た広い知識は、各分野をさらに深掘りするときの”入り口の地図”になります。
2. 実務で使う
知識は使って初めて「生きた知恵」になります。経理の中で、会計処理にとどまらず、財務戦略や社員のライフプランに触れる場面で意識して使うと、実践力に変わります。
3. 他の資格と組み合わせる
FPの真価は、他資格との掛け算で出ます。1分野を補える資格を足すと、カバー範囲が一気に広がります。
| 組み合わせる資格 | FPとの相乗効果 |
|---|---|
| 簿記検定 | 会計処理力+財務分析力が上がる |
| 税理士・税法能力検定 | 高度な税務知識で節税提案までできる |
| 証券アナリスト | 企業の財務分析・投資戦略に強くなる |
| 社会保険労務士 | 労務・社会保険制度に強くなる |
| 宅建士 | 不動産分野を補強できる |
経理の人なら、まずは簿記との組み合わせが王道です。どちらが先か迷う人は、簿記とFPを比較したこちらの記事も参考にしてください。
(内部リンク:簿記とFPの比較:どちらが必要か?)
よくある質問(FAQ)
Q. FP3級だけでも意味はありますか?
A. あります。お金の全体像を一度学ぶだけでも、家計・保険・税金の判断が変わります。「仕事に直結」ではなく「一生使う土台」として取る価値は十分です。
Q. 経理の仕事にFPは必要ですか?
A. 必須ではありませんが、資金管理や税務に関わるなら理解が早くなります。簿記が”必須”、FPは”効いてくる補強”というイメージです。
Q. FP2級まで取る意味はありますか?
A. 実務や家計で本格的に使うなら2級が目安です。3級で全体像、2級で各分野の実用レベル、と段階的に取るのがおすすめです。
Q. 独学で受かりますか?
A. 3級は独学でも十分狙えます。効率重視なら、インプットはスタディング、アウトプットは市販の問題集の組み合わせが定番です。
(内部リンク:スタディングFP3級講座 / スタディングFP2級講座)
まとめ
「FPは役に立たない」は、使い方を知らない人にとっては本当で、活かせる人にとっては誤解です。
- FPは独占業務がなく・広く浅く・取りやすいため「役に立たない」と言われる(弱点は事実)
- ただしお金の全体像を体系的に学べる知識は一生モノで、経理の資金管理・税務とは特に相性が良い
- 役に立つかどうかは「誰が・何のために使うか」次第。資格+実務+他資格の掛け算で価値が伸びる
- 経理なら、まずは簿記との組み合わせが王道
FP3級は「取りやすいのに一生使える」数少ない資格です。役に立たないと切り捨てる前に、まずはお金の地図を一枚、手に入れてみてください。
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