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経理に必要なスキルは、簿記の知識だけでも、資格の数だけでも決まりません。実務でいちばん差が付くのは、Excelで数字を分析する力と、その数字を他部門に説明する力です。
僕は経理歴18年で、そのうち原価計算を10年担当してきました。この記事では、原価計算の現場で実際に身についたスキルと、そこから見えた「経理に必要なスキル」の中身を、資格の話に寄せすぎずに書きます。
この記事でわかること
- 経理に必要なスキルの土台となる3つの力
- 原価計算10年で実際に使ってきたExcelスキルの中身
- 数字を扱う仕事でも「伝える力」が必要になる理由
- スキルを伸ばすための学習の順番
経理に必要なスキルは大きく3つ

この図は、出典の明記とリンク設置を条件に転載いただけます(加工・改変はご遠慮ください)。
出典:こつこつ経理の資格取得ナビ「経理に必要なスキル|原価計算10年で身についた実務力を現役経理が解説」
経理に必要なスキルは、細かく挙げればきりがありませんが、実務で回しているのは次の3つの組み合わせです。
- 簿記の基礎知識(仕訳・決算の仕組みを理解している)
- Excelで数字を集計・分析する力
- 他部門から情報を引き出し、結果を説明するコミュニケーション力
簿記の知識は「言葉」にあたります。仕訳のルールを知らないと、そもそも会計システムが何をしているのか理解できません。ただ、簿記の知識だけでは実務は回らず、そこから先はExcelでの加工と、周囲とのやり取りが仕事の中心になります。
次の章から、この3つのうち特に差が付く「Excelの分析力」と「伝える力」を、原価計算の実務エピソードで具体的に説明します。
原価計算10年で一番効いたのはExcelの分析力
原価計算の仕事は、会計システムが出した数字をそのまま使うだけでは終わりません。むしろ、システムの計算結果が想定と違ったときに、Excelでどこまで検証できるかで仕事の質が決まります。
原価計算では、期初に半期分の労務費見積と生産計画から「賃率」という単価を決め、それを基に月々の標準原価を計算します。この賃率は、各部門から集めた見積りをExcelで組み合わせて算定するため、複数パターンを素早く試算する力が必要になります。
さらに、実際の原価と標準原価にはどうしてもズレが出ます。監査法人と「半期で生産高の1%以内」という基準を合意しているため、毎月このズレを分析し、原因を突き止める作業が続きます。差異が2倍ちょうどなら貸借を逆に入れている、9で割り切れるなら桁の入れ替えというように、差異の「形」から原因を絞り込む考え方は、この分析作業を10年繰り返す中で身についたものです。
失敗談も一つ書いておきます。棚卸の評価額がExcelの仮計算と数円だけ合わなかったことがあり、原因は関数の間違いではなく、端数処理の「桁数」と「丸め方」が社内ルールとずれていたことでした。ROUND(四捨五入)とROUNDDOWN(切り捨て)は結果が違うのに、どちらを使うかが明文化されていなかったのが原因です。数円の差を放置せず桁数と丸め方を洗い直したことで、同じ事故を防げるようになりました。
こうしたExcelでの分析・検証の経験は、原価計算に限らず経理業務全般で使えるスキルです。詳しい関数の使い分けや失敗の中身は、経理のExcel関数7選と経理のExcelショートカットキー活用術にまとめています。
数字より先に「伝える力」で詰まった
経理は一人で数字と向き合う仕事に見えて、実際は他部門との調整が業務の半分を占めます。
たとえば期初の賃率算定では、各部門から半期分の労務費見積と生産時間見積をもらう必要があります。この情報が曖昧なまま算定を進めると、原価差額が予想以上に膨らむ原因になるため、何を、いつまでに、どんな形式でもらうかを部門ごとに調整する場面が何度もあります。
新しい製品の原価を算定するときも同じです。新規の商流が発生すると、営業・調達・工場管理など複数部門から情報を集め、費用がどの工程で発生するかを一つずつ確認しながら会計システムへの登録方法を決めていきます。専門用語を使わずに「何を、なぜ聞いているか」を説明できないと、必要な情報が集まらないまま作業が止まります。
決裁書の確認業務でも、取引の内容と必要性が読み取れない申請は差し戻すことになりますが、ここでも「なぜこの情報が必要か」を相手に分かるように伝えられるかどうかで、やり取りの往復回数が変わります。
数字を正確に扱う力と、それを言葉にして相手に届ける力は、経理の実務では切り離せません。原価計算の業務内容そのものは、原価計算の仕事内容とは?で年間サイクルごとに解説しています。
スキルを伸ばす学習ルート

この図は、出典の明記とリンク設置を条件に転載いただけます(加工・改変はご遠慮ください)。
出典:こつこつ経理の資格取得ナビ「経理に必要なスキル|原価計算10年で身についた実務力を現役経理が解説」
ここまで書いたExcelの分析力や部門調整力は、日々の実務でしか磨けない部分もありますが、土台となる知識は学習で先に固めておけます。
学習の順番としておすすめしているのは次の流れです。
- 簿記の基礎(できれば2級まで): 仕訳・決算の仕組みを理解していないと、Excelで何を計算しているのかが分からないままになります
- MOS(Excel)またはExcelの関数・ショートカット学習: 会計システムから出したデータを加工するための土台になります
- 実務での分析・調整の経験: ここは資格ではなく、担当業務を通じて積み上げていく部分です
簿記の学習は、スキマ時間でも進められる通信講座を使うと継続しやすいです。僕が簿記2級を取ったのは学生時代で、専門学校の講義と問題集で勉強しました。いまから働きながら学ぶなら、通勤時間に講義を見られるスタディングの通信講座を選びます。
働きながら簿記を学ぶスタディング公式(簿記)
Excelの基礎から固めたい場合は、MOS試験の学習が体系的でおすすめです。学び方は経理がMOS通信講座を選ぶ理由とは?で解説しています。
どの資格から手をつけるか迷ったら、担当業務別の取得順をまとめた経理資格の優先順位も参考にしてください。
よくある質問
Q. 経理未経験でも、これらのスキルは身につきますか?
A. 身につきます。簿記の基礎知識は学習で先に固められますし、Excelの分析力や部門調整力は、実務を担当しながら少しずつ身についていくものです。最初から完璧である必要はありません。
Q. 資格とExcelスキル、どちらを先に学ぶべきですか?
A. 簿記の基礎を先に学ぶことをおすすめします。仕訳や決算の仕組みを理解していないと、Excelで加工しているデータの意味が分からないまま作業することになるためです。
Q. 経理に向いているのはどんな人ですか?
A. 継続して学習を続けられる人、ミスを防ぐための確認を怠らない人、そして担当外の部門ともやり取りできる人です。数字だけが得意でも、他部門との調整が苦手だと実務では詰まりやすくなります。
まとめ
- 経理に必要なスキルは、簿記の基礎・Excelの分析力・他部門とのコミュニケーション力の組み合わせ
- Excelの分析力は、原価差額の検証や端数処理の管理など、実務の中で具体的な失敗を通じて磨かれる
- 数字を扱う仕事でも、情報を集め、結果を説明する「伝える力」が業務の半分を占める
- 学習の順番は、簿記の基礎→Excel(MOSや関数・ショートカット)→実務経験、が回り道になりにくい
経理資格全体のおすすめ取得順は、経理資格のおすすめ5選で紹介しています。